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原発性アルドステロン症

原発性アルドステロン症

1)原発性アルドステロン症とは

 高血圧は、その85%~90%がはっきりとした原因がわからない本態性高血圧ですが、残りの10%~15%は原因がわかる二次性高血圧です。原発性アルドステロン症は、二次性高血圧の中でも比較的稀な病気と考えられていましたが、最近の検査法の進歩にともない高血圧症の原因に占める割合が高いことが明らかにされており、様々な研究からは高血圧症の5%~10%、治療に抵抗性の高血圧症に絞れば20%程度が原発性アルドステロン症である事がわかっています。原発性アルドステロン症は副腎(腎臓の上にある小さな内分泌臓器)の腫瘍(大半は片側の副腎に出来る良性腺腫)や、両側の副腎の細胞が正常よりも作られすぎる過形成により、副腎ホルモンの一つであるアルドステロンが大量に作られてしまうことが原因で起こる病気で、手術で治癒が期待できる高血圧です。腫瘍あるいは、過形成ができる理由は不明です。なお、遺伝的に副腎に過形成ができて本疾患になる家系がありますが稀です。

原発性アルドステロン症とは

原発性アルドステロン症とは

 アルドステロンはナトリウムを体の中に貯め込みカリウムを体外に出す働きをします。アルドステロンが血液中に大量存在すると、腎臓において食塩(ナトリウム)が尿に出にくくなるために体内に貯留し、血管の中にナトリウムとともに水分も増加して血圧が高くなります。なお、原発性アルドステロン症で起こる高血圧は、夜から朝にかけて血圧が高くなりやすいという特徴があります。その上、アルドステロン自体が直接的に脳出血、脳梗塞、心筋梗塞、心肥大、不整脈、腎不全等を促すホルモンでもあるため、普通の高血圧(本態性高血圧症)に比べ心臓・脳・腎臓などの障害が高率におこります。単純計算では、原発性アルドステロン症では、本態性高血圧の人の3倍~6倍、高血圧が無い人の約10倍~15倍くらい脳卒中や心筋梗塞などの臓器障害を合併しやすくなります。しかも原発性アルドステロン症では、発症10年未満から合併症がおこります。なお、アルドステロンは塩分と結びつくことで臓器障害作用を発揮しやすくなりますので、原発性アルドステロン症では本態性高血圧よりも更に減塩に気を付ける必要があります。

普通の高血圧を1とした時の発症率
(Milliez P, et al. Am J Coll Caridiol 2005より引用)
普通の高血圧を1とした時の発症率

 症状としては、普通の高血圧と同様に無症状なことが多いのですが、特に低カリウム血症を合併している人では、高血圧の他に脱力感、疲労感、筋力低下、四肢麻痺、知覚障害、多尿、多飲、めまい、動悸、不整脈、頭痛などの症状がみられることがあります。しかしながら、低カリウム血症を呈する頻度は20%程度であるため、臨床的に高血圧のみが特徴のことも多く、その存在を疑わない限り診断には至りません。そのため、普通の高血圧として治療されていることも少なからずあります。若い人から高齢者まで広くみられる疾患であり、初めて高血圧と診断された人はもちろん、すでに高血圧の治療中の方も本疾患の存在を疑う必要がありますが、特に収縮期血圧が160mmHg以上あるいは拡張期血圧が100mmHg以上の方、血液中のカリウムが低いと言われたことのある方、副腎に腫瘍があると言われたことのある方、40歳未満で脳卒中や心筋梗塞を起こした方、睡眠時無呼吸症候群といわれたことがある方、3種類以上の降圧剤でも降圧目標を達成できない治療抵抗性の高血圧の方などでは、本疾患の可能性が高いと考えられるので積極的に検査をする必要があります。適切な治療により、病気そのものの治療のみならず高血圧の治癒や心血管疾患発症の予防も期待できるため、手術と投薬治療のいずれにしても臓器障害を合併する前に早期発見・早期治療をすることが重要な病気です。なお、原発性アルドステロン症でも中には高血圧を呈さない事もありますが、その場合でも血管障害が進行して脳卒中や心筋梗塞などを発症するリスクが高まります。

原発性アルドステロン症の高血圧罹病期間と臓器障害合併率 臓器合併症は高血圧罹病期間が長くなるにつれて増加する
(大村昌夫、他:日本臨床 2011より引用)
原発性アルドステロン症の高血圧罹病期間と臓器障害合併率 臓器合併症は高血圧罹病期間が長くなるにつれて増加する

診断の必要な3つ理由

2)原発性アルドステロン症の検査と診断

 まずはスクリーニング検査として、アルドステロンの分泌過剰を確かめるため、血液中のアルドステロン濃度を測定します。また、アルドステロンは、腎臓から分泌されるレニンという酵素により調節されているため、血漿レニン活性が抑制されていることを確認する必要もあり、血中のレニン活性も同時に測定します。原発性アルドステロン症では、アルドステロン濃度が高くなり、レニン活性が低下しますので、両者の比率(アルドステロン・レニン比:ARR)が増加します。計算により求めたARRが200以上の場合には、原発性アルドステロン症の疑いがあります。例えば、アルドステロン濃度250 (pg/mL)、レニン活性0.2 (ng/mL/hr) の場合は、ARR=250/0.2=1250となり、ARRが200以上なので原発性アルドステロン症の疑いありになります。

ARRが200以上なら疑いあり

 レニン活性やアルドステロン濃度は日内変動があり、姿勢によっても大きく変動しますので、通常は午前中の早い時間帯に約30分間安静にして仰臥位で採血します。またこれらの検査値は、薬剤によっても影響を受けますので、スクリーニングを行う前にはARRに大きな影響を与える降圧薬などは影響を与えにくい降圧薬に変更するか、もしくは中止する必要があります。また、スクリーニングの結果は、ARRだけではなく、アルドステロン濃度の絶対値も勘案して総合的に判断されます。

 スクリーニング検査にて原発性アルドステロン症の疑いがあれば、次に確定診断のために機能確認のための負荷試験を行います。負荷検査とは薬剤を投与した時のホルモンの反応をみる検査で、通常、①カプトプリル負荷試験、②フロセミド立位負荷試験、③生理食塩水負荷試験の3つの試験のうち2つ以上の試験が行われます。確定診断とするための陽性負荷試験の数は学会により差異はありますが、少なくとも一つ以上の検査が陽性であることが必要で、結果は総合的に判断されます。スクリーニング検査で原発性アルドステロン症が疑われ負荷試験を施行された患者のうち、約30%程度が確定診断に至ります。

スクリーニング陽性後の検査スクリーニング陽性後の検査

原発性アルドステロン症の一時スクリーニング陽性者の正診率
(甲斐達也:大阪保険医雑誌 2012より引用)
原発性アルドステロン症の一次スクリーニング陽性者の正診率

 ホルモン過剰の原因が腫瘍か過形成か、また、左右どちらの副腎に腫瘍があるのかなどを判断するには、腹部のCT、MRI、などの画像検査を行います。ただし原発性アルドステロン症で生じる腫瘍はしばしば小さく、約半数程度の腫瘍はCTで判別できないサイズであったり、多発性であったりします。また、腫瘍が認められる副腎とは逆の副腎が病変であったり、両方の副腎が病変であったりすることも多く、画像検査だけでは治療方針の決定はできません。そのため手術による治療の希望がある場合には、副腎静脈血サンプリングという検査が必要になります。副腎静脈サンプリング検査とは、足の付け根からカテーテルという細い管を静脈に挿入して、左右の副腎静脈から直接採血をしてアルドステロンの濃度を調べる検査です。

副腎CT撮影副腎CT撮影

副腎CT撮影

3)原発性アルドステロン症の治療

 検査の結果、左右いずれかの副腎に限局した病変である場合は、腹腔鏡下副腎摘出術によって、原因となる副腎を摘出します。副腎は片側のみでも充分に機能するので日常生活には問題ありません。腹腔鏡下術とは、腹部に3-4箇所だけ小さな穴を開け、そこから腹腔鏡(棒状のカメラ)と手術器具を入れて、モニター画面を見ながら行う手術です。傷が小さく術後の痛みが少ない、回復が早いので入院期間が短い等の優れた点があります。手術により腫瘍の摘出を行えば、多くの症例で血圧は徐々に低下します。また、腫瘍が小さいうちに手術するほうが治癒率は高くなります。しかし、高血圧の罹病期間が長い場合や合併症が生じた後では、血圧が下がりにくいこともあります。

原発性アルドステロン症手術例における高血圧の改善度
(Rossi GP, et al. Hypertension 2008より引用)
原発性アルドステロン症例手術例における高血圧の改善度

高血圧が治癒した人における治癒までの期間
(飯原雅季:ホルモンと臨床 2008より引用)
原発性アルドステロン症例手術例における高血圧の改善度

摘出した副腎腫瘍摘出した副腎腫瘍

 手術を希望しない場合、もしくは副腎静脈サンプリング検査で両側の副腎が病変であった場合は、薬物療法の適応となります。エサキセレノン、エプレレノン、スピロノラクトンなどのアルドステロン拮抗薬が第一選択として用いられ、原則生涯にわたって内服を続ける必要があります。またアルドステロン拮抗薬のみでは血圧のコントロールができない場合は、必要に応じて他の降圧薬を併用投与します。なお、通常の降圧治療のみでは、血圧値は仮に正常化してもアルドステロンによる臓器障害の本当の危険性は回避出来ません。

8年間のアルドステロン拮抗薬投与による 左心室の心筋重量係数の変化
(甲斐達也:Prog Med 2012より引用)
8年間のアルドステロン拮抗薬投与による 左心室の心筋重量係数の変化

確定診断後の治療方針
(高血圧治療ガイドラインより引用)
確定診断後の治療方針

手術ろ投薬治療のいずれにしても早期発見・早期治療が大切です。

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