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慢性閉塞性肺疾患(COPD)

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

COPDとは

 慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease: COPD)は、従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれていた病気の総称です。COPDでは、タバコの煙などに含まれる有害物質に長期間暴露されることにより肺が持続的な炎症を起こし、呼吸機能の低下などを起こします。原因のほとんどが喫煙であることから、生活習慣病の1つとして注目されています。COPDは中高年が発症することが多いですが、中でも高齢になってから発症するケースが近年増加しています。

 本邦におけるCOPDの患者数は40歳以上の8.6%、約530万人と推定されていますが、実際に治療を受けている患者数は約20万人にとどまります。男女別の患者数では、本邦では女性よりも約2.5倍男性の方が多いとされています。本邦でのCOPDの認知度は25%程度にとどまりますが、COPDは肺炎や肺がんなど重篤な肺疾患を起こす危険性があるため、早期発見と早期治療が重視されています。

COPDの病態
(環境再生保全機構ホームページより引用)
COPDの病態

COPDの原因

 鼻や口から取り込まれた空気は、気管を通って肺へと送り込まれます。肺の中にある肺胞という部位では、血中に酸素を取り込むと同時に、体内にある二酸化炭素の排出を行っています。

 有害な物質が長期にわたって末梢の気道を刺激すると、細い気管支に炎症を起こし、修復が繰り返されるために気道の壁がだんだんと厚くなり、その結果として気管支の内腔が狭くなります。また、有害物質が肺胞にまで及んで炎症を起こすと、肺胞の壁が破壊され、肺胞の弾力性や収縮力が低下して息を十分に吐き出せなくなります。このように、COPDは細気管支炎や肺気腫によって肺の空気がうまく吐き出せなくなり、その結果酸素不足を起こして息切れを生じる病気で、進行すると低酸素血症と高二酸化炭素血症を生じます。

COPDでは低酸素血症を起こす
(環境再生保全機構ホームページより引用)
COPDでは低酸素血症を起こす

 COPDは、肺胞と末梢の気道が炎症を起こすことが主因ですが、炎症を起こす主な原因としては、タバコの煙に含まれる有害物質が挙げられ、本邦ではCOPDの原因の90%以上が喫煙によるものです。また本人に喫煙習慣のない場合でも、受動喫煙によりタバコの煙に暴露される機会が多いとCOPDを発症する危険性が高くなります。更には、胎児期や新生児期にタバコの煙に暴露される環境にあると、肺の成長が妨げられ、COPDの発症リスクが高くなります。

日本のタバコ消費量とCOPD死亡率
(泉孝英:日本臨床 2003より引用)
日本のタバコ消費量とCOPD死亡率

 他にも遺伝的な要因によりCOPDを発症することもあります。発症との因果関係が示されているものとしては、α1-アンチトリプシン欠損症があります。欧米人においてはCOPD患者の数%がα1-アンチトリプシン欠損症によるものとされていますが、日本人ではα1-アンチトリプシン欠損症は非常にまれです。このほか、PM2.5などの大気中の汚染物質や換気の不十分な室内での調理なども原因になることがあります。

PM2.5の大きさPM2.5の大きさ

COPDの症状

 COPDの主な症状として、労作時の呼吸困難と慢性の咳や痰が挙げられ、進行すると栄養障害による体重減少を認めます。ただし、このような典型的な症状は、重症になるまで出現しないことが多く、逆にCOPDの症状が出てきた時には既に肺にかなりの障害を起こしていることを示しています。

 COPDは肺の病気ですが、病変は肺ばかりではなく、高血圧、虚血性心疾患、慢性心不全などの心疾患や骨粗しょう症、脂質異常症、消化性潰瘍、うつ状態など全身に様々な病気を高頻度に合併します。更には、同じ量のタバコを吸っていても、COPDの人はそうでない人に比べ、約10倍の頻度で肺癌を発症することも明らかにされています。

各種疾患に占めるCOPDの割合各種疾患に占めるCOPDの割合

COPDの診断

 COPDの治療が不十分だと他の病気を合併しやすく、また他の病気の治療が不十分だと、COPDの管理が難しくなります。そのためCOPDは進行する前に発見し、他の病気のコントロールもしっかりと行うことが重要です。

COPDの脳心血管疾患合併率
(Curkendall SM, et al. Ann Epidemiol 2006より引用)
COPDの脳心血管疾患合併率

 COPDの診断では、スパイロメトリーと呼ばれる呼吸機能検査を実施します。この検査では、スパイロメーターという装置を用いて、呼気量や吸気量を測定します。COPDは息を吐き出しにくくなる病気なので、最初の1秒間に吐き出せる空気の量(1秒量)が低下し、その割合(1秒率)の値も小さくなることが特徴であり、スパイロメトリー検査で気管支拡張薬を使用した後の1秒率が70%未満で、なおかつ他の気道閉塞をきたしうる病気が除外できる場合にCOPDと診断されます。

換気障害区分表換気障害区分表

 また、重症例では、胸部レントゲン写真で肺の透過性亢進や過膨張の所見が認められることもありますが、早期診断には胸部レントゲン写真は役立ちません。更に詳しく肺や気管支の状態を調べる場合には、高分解能CT検査を行います。この検査は、気腫性病変の検出に極めて有効で、肺胞の破壊や早期の気腫病変が発見できます。

COPDの胸部X線画像と高分解能CT画像COPDの胸部X線画像と高分解能CT画像

 COPDは骨格筋の機能障害、栄養障害、虚血性心疾患、骨粗しょう症などの併存症を伴う全身性の炎症性疾患であり、これらの肺以外の症状が重症度にも影響を及ぼすことから、併存症も含めた病状の評価が必要になります。

COPDの治療

 残念ながら、持続的な炎症により一度破壊されて変化を起こしてしまった肺胞組織が元に戻る事はありません。しかしながら、早く病気を発見して治療を続ければ、症状を和らげたり、病気の進行を抑制したりして、生活の質の維持や改善が可能です。

COPDに対する管理目標
(COPD診療と治療のためのガイドラインより引用)
COPDに対する管理目標

 COPDの原因のほとんどは喫煙です。そのため喫煙習慣のある人では、まず最初に禁煙する必要があります。なお、禁煙によってCOPDの進行が遅くなり、寿命が延びることが明らかにされており、禁煙はCOPDの治療の中でも最も効果的な治療といわれています。禁煙以外には、呼吸機能の回復や維持を目的として、呼吸リハビリテーションが取り入れられることもあります。呼吸リハビリテーションでは、腹式呼吸、口すぼめ呼吸などの呼吸訓練や筋力トレーニングなどを行い、少しでも楽に呼吸できるようにします。

COPD患者における禁煙の影響
(Anthonisen NR. Ann Intern Med 2005より引用)
COPD患者における禁煙の影響

 これらの介入で改善が認められない場合には、薬物療法が行われます。具体的には、気管支を広げる効果のある長時間作用性の抗コリン薬や長時間作用性のβ2刺激薬が用いられます。また、気道閉塞が重症で増悪を繰り返す場合には吸入ステロイド薬も使用します。

抗コリン薬とβ2刺激薬併用による急性増悪抑制効果
(Calverley P, et al. Lancet Respir Med 2018より引用)
抗コリン薬とβ2刺激薬併用による急性増悪抑制効果

 なお、重症度が高く低酸素血症が進行した患者に対しては、酸素吸入器を用いた在宅での酸素療法が必要な場合もあり、在宅酸素療法を行うことにより、寿命の延長とQOLの改善が得られます。更に呼吸不全が進行した場合には、小型の人工呼吸器とマスクを用いた換気補助療法がおこなわれることもあります。症例によっては、過膨張した肺を切除する手術が行われることもあります。
 COPD患者では、風邪やインフルエンザなどの呼吸器の感染をきっかけに症状の急激な悪化が起こり、時として命に関わることがあります。そのため、普段から増悪を起こさない対策が重要です。

COPD安定期の管理
(COPD診療と治療のためのガイドラインより引用)
COPD安定期の管理

甲斐 達也

かい内科クリニック院長  甲斐 達也(かい たつや)

  • 日本内科学会認定総合内科専門医
  • 日本循環器学会認定循環器専門医
  • 日本高血圧学会認定高血圧専門医
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