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フレイル

フレイル

 フレイルとはもともと虚弱を意味する言葉で、Frailtyの日本語訳です。フレイルは、医学的には「加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態」と定義されています。状態としては、自立した生活を送ってはいるものの、介護を要する「要介護」の状態になる前段階と位置づけられています。フレイル高齢者では日常生活機能障害、施設入所、転倒、入院をはじめとして色々な病気が起こりやすくなり、重症化の割合や死亡割合も高くなることが知られています。フレイルでは、身体的な問題にとどまらず、認知症も起こりやすく、家に閉じこもりがちになると社会性にまで影響します。そのため、通常フレイルは身体的フレイル、精神心理的フレイル、社会的フレイルの3要素で構成されると考えられています。

フレイルの構成要素フレイルの構成要素

 身体的フレイルは、筋肉の衰えにより疲れやすくなったり転倒しやすくなったりするのが代表的な症状です。加齢に伴って筋肉の量が減り、筋力や身体機能が低下する「サルコペニア」が身体的フレイルの大きな要因となります。精神心理的フレイルは抑うつ状態や軽度認知機能障害などを指し、社会的フレイルは独居や閉じこもりなど社会参加が減少している状態を指します。これら3つの種類のフレイルは相互に悪影響を及ぼしあっており、悪循環に入ると自分一人の努力では脱出が困難になります。また、フレイルでは体の生理的予備能力が低下しているため、感染症、事故、手術などの急に体に大きなストレスがかかる出来事があるとなかなか回復しにくく、それを契機に一気に体の機能が低下して要介護状態に至ってしまう事もありますし、最終的には致死的な疾患に罹患するリスクも上昇します。

フレイルの悪循環フレイルの悪循環

 40歳から69歳の一般市民50万人を対象として約7.1年間観察を行った英国の研究では、5kg以上握力が低下すると、全死亡は男性1.20倍、女性1.16倍、心血管系疾患による死亡は男性1.19倍、女性1.22倍、呼吸器疾患による死亡は男性1.31倍、女性1.24倍のリスク増加になると報告されています。

 加齢に伴う機能低下には避けられない面もありますが、フレイルは早期に適切に対応することで健常状態まで改善しうると考えられています。例えば、人の筋肉量は30歳代から年間1~2%ずつ減少し80歳頃までに約30%の筋肉が失われますが、筋肉の衰えは運動によりある程度は回復する可能性があります。筋肉が回復すればより病気が起こりにくくなり、要介護状態にもなりにくくなります。日常生活においては、6ヶ月で2~3kg、12ヶ月で4.5kg以上の体重減少があればサルコペニアを疑いフレイルの進行に注意を払う必要があります。543人の70歳から79歳の女性のデータを解析した研究において高血糖がフレイルと関連することが示されており、糖尿病のコントロールが不良な人や心臓・肺・腎臓などに持病がある人は特にフレイルに注意が必要です。下図に示すような疾患がフレイルとの関連が考えられています。こうした疾患があるとフレイルになりやすく、またフレイルがあると病気の経過に悪影響が及びます。

―フレイルとの関連が考えられている疾患もしくは病態―

  • 起立性低血圧・起立性調節障害
  • 高血圧に対する降圧治療
  • 心房細動
  • 急性冠症候群・カテーテル治療後
  • 心不全
  • 糖尿病・低血糖
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 慢性腎臓病
  • 骨粗鬆症
  • 認知機能障害
  • 白内障・視機能障害・難聴
  • 慢性全身性疼痛

 そのほか、偏った食事や運動不足などの生活習慣がある人、多くの種類の薬を内服している人などもフレイルになりやすいと考えられます。特に、抗うつ薬、抗コリン薬、睡眠薬や抗不安薬として使われているベンゾジアゼピン関連薬などはフレイルを非常に起こしやすくなるため、なるべく使用を避けることが望まれます。フレイルの診断法には、まだ統一された基準がありませんが、身体的フレイルの代表的な診断法として「日本版CHS基準」が用いられています。この基準では、3項目以上に該当すればフレイル、1項目~2項目該当すればプレフレイル(フレイルの前段階)と判断します。

日本版CHS基準日本版CHS基準

 フレイルは進行するほど回復が難しくなるので、早めに予防対策を始めることが大切です。今のところ、虚弱な状態に対して一部の漢方薬が使われる以外には、フレイルそのものに対する治療薬はありません。フレイルの予防や進行予防には持病のコントロールと共に、栄養療法、運動療法、感染症の予防などが必要になります。栄養状態についてフレイルと大きく関連するのは低栄養です。食事では適切な量のエネルギーを取るとともに、筋肉や骨を作るのに重要な蛋白質やビタミンを十分に取ることが必要です。

蛋白摂取量と除脂肪量の減少度
(Houston DK, et al. Am J Clin Nutr 2008より引用)
蛋白摂取量と除脂肪量の減少度

 高齢者は若年者と比べて蛋白質同化抵抗性がみられるため、より多くの蛋白質を摂取する必要があり、例えば体重60kgの人であれば1日約80g(1.5g/kg/日)程度の蛋白質摂取が必要ですが、日本人高齢者の平均蛋白摂取量は0.8g/kg/日程度と報告されています。通常の食事のみでは高蛋白の摂取が困難なケースでは栄養補助食品の摂取も検討する必要があります。ビタミンはC,D,Eなどの摂取が必要であり、特に骨の維持に重要なビタミンDの摂取が必要です。運動療法としては、レジスタンス運動、持久力運動、ストレッチ、バランス運動など、様々な種類の運動を組み合わせて行うことが勧められています。筋肉をつくるために最も効果的なのはレジスタンス運動の約1時間後にアミノ酸を摂取することで、なかでも骨格筋の基になり蛋白質の合成促進と分解抑制作用をもつ必須アミノ酸のロイシンの摂取が良いと報告されています。但し、レジスタンス運動は筋疲労をもたらすため高齢者においては週に2~3回程度が望ましいとされています。

有酸素運動とレジスタンス運動有酸素運動とレジスタンス運動

 感染症の予防に関しては、インフルエンザウィルスや肺炎球菌などのワクチンの接種などを行います。また、高齢者では十分な食事を取るためにはきちんと食べられることが重要ですが、咀嚼や嚥下などの口腔機能も低下してオーラルフレイルと呼ばれる状態になることも多くみられます。そのため、歯の健康管理に留意をし、必要に応じて入れ歯などを使用して咀嚼機能を改善したり、嚥下機能を保つリハビリをするなどしてオーラルフレイルを予防する必要があります。

 フレイルは日常生活動作を著しく低下させるのみならず、要介護者の増加をもたらし、家族や社会にとって大きな負担となります。介護保険で、「要支援」と認定された人は、フレイルの中でも要介護に近づいた状態と考えられるため、デイケアなどのサービスを積極的に活用してフレイルの進行予防に努める必要があります。

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