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洞不全症候群

洞不全症候群

洞不全症候群とは

 洞結節細胞群は自動的に電気的興奮を発生することのできる能力(自動能)を有しており、洞結節および洞結節周辺部組織の機能的もしくは器質的障害により、洞自動能や房室伝導能の低下が生じて、原因不明の持続性洞性徐脈、洞停止又は洞房ブロック、徐脈頻脈症候群の3つのタイプの徐脈性不整脈を呈します。心電図上で、心房興奮を反映するP波が規則正しい間隔で現れる数が少ないものを洞性徐脈、P波が突然現れなくなる場合を洞停止(あるいは洞房ブロック)といいます。通常の心拍数は1分間に60回~100回程度ですが、洞不全症候群では運動時や発熱時などの心拍数が上昇する状態においても十分な心拍数の上昇が認められません。徐脈頻脈症候群では、心房細動や心房粗動、発作性上室性頻拍などの様々な頻脈性上室性不整脈を合併し、その頻脈が停止した後に洞停止を生じます。徐脈頻脈症候群は洞性徐脈性不整脈単独例に比べ、頻脈停止後に高度の心停止をきたして失神の原因となることが多く、重症な洞不全症候群として位置づけられています。一般に発症年齢は60歳~70歳代の罹患が最も多く男女差はありません。

心電図における各波の名称心電図における各波の名称

洞不全症候群の原因

 洞不全症候群は、洞結節細胞群の障害や、洞結節から心房への電気刺激の伝わり方が障害されることにより引き起こされます。障害部位が洞結節の場合は洞徐脈や洞停止、結節周囲組織の障害の場合は洞房ブロック、障害が心房まで至ると心房細動や心房粗動、心房頻拍を合併する徐脈頻脈症候群を呈します。洞不全症候群の90%以上の症例は明らかな原因を特定できない特発性で加齢が主たる要因とされますが、二次的な原因疾患としては、虚血性心疾患、心筋症、心筋炎、リウマチ性心疾患、アミロイドーシス、サルコイドーシス、膠原病、甲状腺機能低下症、睡眠時無呼吸症候群などの病気が挙げられます。また、SCN5A変異やHCN4変異などの遺伝性のものもあります。なお、迷走神経の過緊張、頭蓋内圧亢進、高カリウム血症などの病態や、β遮断薬、ジギタリス、抗不整脈薬、モルヒネなどの薬剤による機能的な原因に起因する徐脈性不整脈は一過性の経過で機能的原因の除去により改善するため、厳密には洞機能不全症候群には含まれません。

Rubenstein分類による洞不全症候群のパターンRubenstein分類による洞不全症候群のパターン

洞不全症候群の症状

 洞不全症候群では、脈が遅くなることに関連した症状が現れることがあります。ただし、脈が遅くなっている状態であっても、必ずしも症状が現れるわけではなく、脈拍数や体動による脈の変化、併発する不整脈などによって症状が異なります。長い洞停止では脳への血流が十分に供給されなくなるため、失神やめまい、眼前暗黒感などの症状が現れ、持続性の洞徐脈では心拍出量の低下により労作時の息切れや全身倦怠感、浮腫などの心不全症状を生じることがあります。なお、徐脈頻脈症候群では頻脈発作時の動悸に続くめまいや失神が特徴的な症状です。

洞不全症候群の検査、診断

 洞不全症候群の診断は、安静時12誘導心電図やホルター心電図により行われます。ホルター心電図は、12誘導心電図より長時間記録ができるため病態の確認や病状の把握に有用であり、症状が発作性に出る場合にはホルター心電図により症状出現時の心電図記録が出来れば、特徴的な心電図所見から診断は確定します。また、持続性洞徐脈では、ホルター心電図で1日の総心拍数や運動時の心拍数上昇の有無の評価が重要です。なお、運動時の心拍数上昇の有無は運動負荷心電図でも評価可能です。更には、洞機能低下が自律神経による機能的なものか器質的異常かの鑑別のために薬物負荷試験を施行したり、症例によっては心臓電気生理学的検査により洞結節機能の評価を行うこともあります。特に、洞機能不全と症状との因果関係が確立していない場合には心臓電気生理学的検査の絶対適応となります。

洞不全症候群における心房頻回刺激法洞不全症候群における心房頻回刺激法

洞不全症候群の治療

 洞不全症候群を指摘された場合に、実際に治療対象になるかどうかは検査結果や症状に応じて異なり、無治療で経過を見ることもあります。また、治療対象であっても症状が軽度の場合は、抗コリン薬やβ刺激薬などの洞結節の自発的興奮回数を増やす薬剤を投与して経過をみることもあります。また、徐脈頻脈症候群の場合は、カテーテルアブレーションで頻拍発作を根治すると洞停止が生じなくなることも多く認められます。

 一方、失神、痙攣、眼前暗黒感、めまい、息切れ、易疲労感などの症状もしくは心不全があり、それが洞結節機能低下にもとづく徐脈、洞房ブロック、洞停止あるいは運動時の心拍応答不全によることが確認された場合には恒久的ペースメーカー植込みの適応になり、ペースメーカーを植え込むことで、通常の日常生活を送ることが期待できます。恒久的ペースメーカー植込みでは、心房や心室にリードと呼ばれる電極が固定されるまでは、ペースメーカーを植え込んだ側の腕を上げることや激しい運動は控える必要がありますが、それ以降は特別な制限はありません

恒久的ペースメーカー植込み術恒久的ペースメーカー植込み術

甲斐 達也

かい内科クリニック院長  甲斐 達也(かい たつや)

  • 日本内科学会認定総合内科専門医
  • 日本循環器学会認定循環器専門医
  • 日本高血圧学会認定高血圧専門医
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